熊野古道散策

熊野古道散策

人は何故彼の地を目指すのか。大雲取山を越えいくつもの峠を越え…

古道の傍らに元禄三庚午年の銘のある六字名号碑石のほか、宝永四年(一七〇七)泉州境の魚商人六兵衛が寄進したという石地蔵三十三体があり、今は地蔵堂に安置されている( 現在は三二体で一体は熊野川小口に祀られている)。何時の頃からかは分からないが、此の地には茶屋があり旅籠があった。熊野を旅する人には要所であったにちがいない。「後鳥羽院熊野御幸記」建仁元年(一二〇一)十月二十日条には「雲トリ紫金峯如立乎、山中只一宇有小家、右衛門督宿也」とあり雲取峠の山中にただ一宇あったという小家に想定されている。「西国三十三所名所図会」にも地蔵堂と石仏の記述があり、いつしか此の地は地蔵、地蔵茶屋と呼ばれるようになった。那智山からは百十九丁目にあり、越前峠を超え本宮に入る。いずれにせよ、旅人は此の地でしばしの休息をとる。熊野古道は癒しの道と言われるが、大雲取越えは険しく、苦しい道のりである。此の地は、古から今そして未来へと、道行く人に憩いの時を与え続ける処である。

熊野古道散策マップ

大雲取地蔵茶屋跡地は、那智山~舟見茶屋跡~粥餅茶屋跡~地蔵茶屋跡~石倉茶屋跡越前茶屋跡~小口に至る、中間点で一番大きな茶屋跡と聞いています。