地蔵茶屋休憩所

大雲取 地蔵茶屋休憩所

午前9時から午後4時まで、無料開放

「紀伊山地の霊場と参詣道」が平成16年7月7日に世界遺産に登録され、熊野古道を散策される方が多くなっています。
古き時代、恐れ、祈りながら救いを求め、先人たちが千年以上にわたって踏みしめてきた巡礼の道。この昼なお暗く、嶮しい山越えの果て、ほんのひとときの休息の場所として幾多の人々を慰めてきた茶屋。この茶屋跡に、森のささやきと鼓動を感じながらしばし往時を偲び、険峻な大雲取山の古道を行く方々に少しでも休憩して戴き、心の癒しになればと思い、休憩所を建築する運びとなりました。

建築概要

この建物は平成16年9月に着工し、11月に完成しました。木造平家建て建築床面積75.2㎡、約22.7坪です。 "熊野古道を歩く方々に心の癒しと休憩の場を"そして"間伐材を使った国産材の建築物の良さを知って欲しい"ということを目標に、大雲取紫金峰の自然と調和する環境に優しい「山小屋風の建物」をイメージして設計しました。

杉材を利用したむき出しの地棟は焼きを施し、山小屋の雰囲気を醸し出しています。
柱材は桧の生節4.5寸角(14.8㎝)を使用。造作材の壁板は杉の赤味材、尾根の下地も4分(13.2㎝)の杉の赤味、二本の柱は桧の磨丸太8寸(26.4㎝)です。床框には杉の変木を利用しました。
また、中央には松材を使用した縦1.5m 横3.0mの囲炉裏が設けられ、天井からは自在鉤が吊るされています。
椅子は丸太の切り株を利用し、テーブルは松の古材を使いました。土間は、柾土を敷き均し昔の茶店の雰囲気をかもし出すとともに、土の温もりを感じていただけると思います。床の間、板間も設けられ、お茶などを飲んでいただけるよう湯沸し室も完備しています。

今もなお息づく神々の声に耳を傾け、道行く人々がしばしの安らぎを得、再び森閑とした木立の中へ足を踏み入れる弾みとして、そして山越え難関を踏破しようという意気込みの助けとして、一人でも多くの方に利用して戴けましたら幸いです。
またいつの日か、今日ここを訪れてくださった方々がこの地へ向かい、「あの地蔵茶屋休憩所で一息つきましょう」と思ってくださるよう、私どもも大切に守っていきたいと思っております。

休憩所の一時の休息によって、体も心も山の霊気で清められ、心安らかに旅を続ける事ができるよう、心よりお祈りいたします。